@Morgenthau0217

国際政治学たん

国際政治学を専攻にするつもりは全くないけれど、それ(国際政治学)に関心がありイチから学びたい人に、本を三冊おすすめするとしたら、何を挙げますか?

さいとう・たかを『ゴルゴ13』、かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』、手塚治虫『アドルフに告ぐ』。3冊じゃなくて3シリーズだけど。

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テレビなどで舛添氏の出身が国際政治学者とされているのをよく見かけます。Wikipediaの記述によると、フランス外交史が専門のようですが、国際政治学分野での彼の評価や学術的貢献はどんなものでしょうか。

実は国際政治学者としての舛添要一さんのことはよくわかりません。論文検索をしてみましたが、自身の研究分野での論文は80年代くらいまでちょこちょこと執筆されていたようです。でも国際政治学者という肩書きでメディアに露出しまくっていたイメージの方が強いですね。

オバマ大統領の広島訪問、どう捉えましたか?

「核なき世界」に物理的にはまったく近づいていませんが、核保有(さらには核の使用)の正当性を決定的に剥奪した点は大きいと思います。大国はかつて「特権を行使できる国家」でしたが、今や「義務を課される国家」に変貌しています。核保有もかつては大国の特権でしたが、今やそれは特権とは見なされないという国際世論が優勢になったと言えるでしょう。保有それ自体に罰則はないですし、今後も罰則ができることは考えられませんが、少なくとも保有は正当な権利ではなくなっています。ただそれが核保有国の大統領によってなされたというのは皮肉ですね。

ネオコンについての質問です。ブッシュ政権のイラク侵攻についてなのですが、ブッシュはネオコンでしたよね?彼の主張(イラクの大量破壊兵器所持疑惑, イラクの民主化など)はリベラリズムに訴えかけているように見えるのですが、ネオコンというものはリベラリストなのでしょうか?

ネオコンはある面でリベラルと認識を共有しています。例えば世界が民主的になることによってより平和で安全な世界秩序がもたらされるはずだという信念のもとに、非民主的な国を武力を用いてでも民主化すべきだと主張するネオコンがいますが、実はこれは「民主国家同士は戦争をしない」というリベラルのデモクラティックピース理論に依拠しています。リベラルと違うのは多くのリベラルは武力行使には慎重ですが、ネオコンはより好戦的なところです。また国際機関や国際法の有効性を信頼していないのもリベラルとの違いです。

中西寛先生のどういった考え方に影響を受けたのでしょうか?

色んな部分において影響を受けましたが、例えば中公新書の『国際政治とは何か』で述べられている対外政策の偽善と独善に関する考え方や国際政治のトリレンマの捉え方など。高坂先生の弟子だけあって複眼的な思考法はかなり似ている気がします。

最近、地政学という言葉をよく耳にするようになったのですが、以前から確立していた学問分野だと思います。この風潮には何か原因があるのでしょうか?

地政学は以前から成立していた学問ですが、戦後日本では長らく無視・軽視される風潮にありました。ここ10年ほどで市民権を得たのは、奥山真司さんらの尽力によるものと思います。ただし本来の意味の「地政学」とは別に勝手な用法で「地政学」と呼ばれているものがあるので注意が必要です。例えば最近では茂木誠という人の『世界史で学べ!地政学』という書籍がありますが、ああいうのは本来の地政学とはほとんど関係はないです。

今現在、日本における最も優れた国際政治学者はどなただと思いますか?

「優れた人」はどうしても私の偏見になってしまうので勘弁して下さい(^_^; 私が特に影響を受けた国際政治学者は日本では中西寛先生です。他には田中明彦先生、田所昌幸先生からも強い影響を受けました。この3名は「私が影響を受けた人」であり、「優れた人」かどうかは分かりかねますので、お間違いなきよう。

おすすめの国際政治の本などありますでしょうか。

ありますけど、膨大です。国際政治の特にどんな領域に興味があり、質問者さまの予備知識がどの程度かを教えて頂ければ、おすすめもしやすくなるのですが……。

以前からフォローさせて頂いています。最近大学での受講に向けて国際関係学をやっているのですが両極体制について質問があります。 ウォルツは二大国が存在し他の国がどちらかについて対峙しあう両極体制が他の体制に比べて平和であると言う考えであると知りました。 ですが実際キューバ危機が起こった時は両首脳部も衝突を覚悟したわけですよね?それに、確かに両大国間の戦争はありませんでしたが衛星国によるものは多々ありました。私は今の方が安全かと思うのですが……。 また、仮にソ連が崩壊せず中東も東西に分かれていれば現在のイスラム教原理主義テログループの勃興も無かったと思いますか? 以上2つご意見お聞かせ下さい。

「二極こそ国際システムは安定する」というウォルツの二極安定論ですが、ウォルツにとって国際システムの安定とは「二大国間の戦争(それは必然的に世界戦争になります)が起こらない状態」を指します。ですから、ベトナムやアフガニスタンなど「周辺」において戦争が起きていた冷戦時代も、「国際システムは安定していた」ということになります。またキューバ危機に関してですが、実はウォルツが二極安定論を提起したのはキューバ危機の後です(1964年)。ウォルツにとってはむしろ、「キューバ危機が実際の戦争にならずに済んだ」ということが、二極安定論の根拠にもなったのだとも言えます。私は二極安定論を支持していませんので、質問者さまの「今の方が安全かと思う」という意見に同意します。イスラム過激主義のテログループですが、確かに冷戦体制が継続していれば勃興しなかったと考えることもできるかもしれませんが、冷戦の終焉だけがテログループの勃興の原因というわけではないとも思います。

国際政治情勢を包括的に理解したいのですが、本をちまちま読んでいても先が見えません。コツか何かありますか?

情勢がどうなるか先が見えないのは当然だと思います。混迷の中東情勢がこの先どうなるかは誰にもわかりません。大事なのは、まず雑誌やニュースをちゃんと読み、現状がどうなっており、関連するアクターがどんな利害を抱えているのかを常に整理しておくこと。もう1つは理論的な枠組みをもつことです。理論的な枠組みを知るには標準的な教科書を読むのが一番だと思います。理論なき分析は皮相なものになりがちです。

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