つ「お題:お花摘み」「ゴースト:任意」

線路沿いを何気なく歩いている時に、咲いていたタンポポをふと手折って手に取る。持っていたウェットティッシュで茎をふくと、隣を歩くカシスの髪に刺してみる。銀色の髪の毛に、緑と黄色のコントラストはよく似合うと思った。
「あら、ありがとう。そうね、こういう戯れも嫌いではないわ。小さな花。もうすぐ種子を持って役割を全うするはずだった花。私はその命ひとつに相当するのかしら」
十分に、と言う。タンポポはそのほとんどが外来種で、植生を脅かす侵略者だ。そうした駆除の意味もある、ともったいぶって付け加えた。
「ふふ、そう。少しばかりこの場にはふさわしくなかったかもしれないわね。タンポポは獣道などに根を張る強い植物。人の言葉ではこの種類をなんと言ったかしら。それはともかく、人の歌では、挫けないもの、頑張るもの、つまりは希望の象徴のように扱われるわね」
そうだねと相槌をうつ。タンポポの植生を捉えて悪い意味で使われるものは見聞きしたことがない。
「それなら、私は貴方の希望の象徴になれているのかしら」
カシスはいたずらっぽく笑って、タンポポを刺したままくるりと回って見せる。そして人々のタンポポのイメージどおりの、明るい笑顔を向けてくる。
たまにこういう不意打ちを仕掛けてくることがある。今でも十分に、とカシスに言うと、それならお互い様ね、と言われた。
参った。降参だ。顔が赤くなりそうなのをごまかして、カシスの前を歩き出す。くすりと笑う感じがして、足音がついてくる。ああ、筒抜けだったなと頭をかき回す。再び、くすりと笑われた。
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カシスさんはすっかりデレデレなイメージが強くなってしまった。

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