四本さんが「今日も五回くらい聴いた」と書いてらしたので,では私も,と新譜を聴き始めたところでのDavid Bowieの訃報で驚きました。 RO誌上で,四本さんがBowieのことに触れていた記憶があまりないのですが,今までBowieをどのように聴いてきたのか教えてください。

kuroneko
僕が書いていた79年から83年は、まだ岩谷宏さんもロックから離れていない時期でしたから、僕のような子供には出番がありませんでした。そもそも、シリアスな評論を志していたわけではないので、対象として不向きだったろうと思います。そして当時の読者であればお分かりと思いますが、ボウイが提示するコンセプトとあの雑誌の論調とは不可分な関係で、そこに自分が割って入る気もありませんでした。ついでに言えば、P-MODELを対象に何かを書いたことも、ほとんど無かったと思います。
ボウイに関心を持ったのは、イーノやロバート・フリップとも方向性が交差していた、いわゆるベルリン三部作の時代です。ジギー・スターダストの時代は、ケバいミーハー向けのロックンローラーというイメージしかなかったのですが、ちょうどキング・クリムゾンが解散して空いた部分にハマった感じです。特にNHKで放送された78年の来日公演は、アロハシャツを着て浮きまくっているエイドリアン・ブリューや、後に色々と言われてしまう岩谷さんの訳詞も含めて、ボウイのポジションが子供にも分かりやすかった。
レッツ・ダンス以降はまったく聴いていませんが、YouTubeの時代になって、アースリング期の演奏のカッコ良さに気付き、リーヴス・ゲイブレルスやブリューと同じギターを買ったりして、ミーハーっぽく楽しんでいたところです。新作もそうですが、ボウイが招集するバンドは本当に面白い。スタイルの更新さえ志向すれば良く、必ずしもそこで完成度を求めなくてもいいという態度は、過去のアルバムがいまだ新鮮に聴ける点で正しいのでしょう。そこで方向性を見誤らない事が、彼の才能だったのだろうと思います。

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