竜と龍の違いはなんでしょうか。

現在では「龍」は旧字体であり、通用字体、新字体として「竜」が用いられています。しかし清朝の字典である『康熙字典』の「龍」の項には「〔古文〕竜、……」とあるので、実は「竜」の方が古く、のちに「龍」の字が派生したがやがて「竜」に先祖返りした、と解説している人も少なからずいるようです。僕もその解説を鵜呑みにして、最初はそのように書いていたのですが、それを読んだ方から「実際には明らかに『竜』と判断できる字は隋代まで見つかっていない」「古字とは『より古い字』という意味ではなく、せいぜいが『一時期使われていたが今は使われていない字』程度の意味」との指摘を受けました。日々勉強だ。
ちなみに、はっきりと先祖返りしたといえる字もあります。「雲」は甲骨では「云」という字体でしたが、やがて意味符合として「雨」が付加されて「雲」になりました。現在でも日本では「雲」の字が使われていますが、中国の簡体字では「云」が用いられています。別に甲骨に合わせようという意図があって「云」にしたわけではないはずですが、結果として甲骨の字体に先祖返りしてしまいました。
ところで、調べていて面白いなと思ったのは、辞書的には「竜」と「龍」は同じ意味を示すデザイン違いの文字に過ぎないのですが、やはり字体がもたらすイメージの差的なものはあるようで、「龍」は東洋の(ヘビ状の、翼のない)りゅう、「竜」は西洋の(トカゲ状の、翼のある)ドラゴン、という使い分けがなされることが多いようです。確かにいわれてみれば、ドラグーンのことを「竜騎士」とは書いても「龍騎士」とはなかなか書きませんね。逆にシェンロンは「神龍」であって「神竜」ではない。
ちなみに、『漢辞海』によれば「龍」「竜」は角のあるりゅうを指す字で、角のないものは「蛟」と表すそうです。確かにシェンロン、角あるわ……。