そうですねー。
あれは震災が起きる前の冬コミに参加したときでしたか。欲しい物をあさり、各ブースを一通り見終わって、ふとコスプレゾーンに行きたくなったんですよ。
せっかくだし、写真なんかも撮りたいなーなんて思いながらカメラ登録のお金を払い、ふらっとコスプレエリアに行ったんですね。そこには私が思っていたのとは全く違う世界があったんですよ。これはいい意味ではなく、悪い意味で。
想像以上に完成度の高いコスプレイヤーは勿論の事、それ以上に写真を撮る人達の器材に驚愕したんです。大型イベントというせいもあったのでしょう、とにかく両者の準備と出来が高かったのです。
エリアをシドロモドロになりながら歩き、写真を撮りたいと思った方も何人もいました。しかし、私の手元にあるのは極々普通のデジタルカメラ。解像度だって高くない。そんなものを、目の前にいる方に向けていいのだろうか。そう思い、私は静かにその場を後にしました。
それから数ヵ月。仕事を辞め、一人暮らしを始めました。そこでふと思ったのです。

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「コスプレイヤーさんと、一緒に写真が撮りたい」

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しかしそうは思ったところで手元にあるのは安いカメラ、立派なものを買う気もない。ではどうすればいいか。

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自分も、彼らと同じステージに立てばいいんだ。

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そう思い、私は決心をしたのです。
決めてからの行動はスムーズでした。どのキャラのコスプレをするか、それはたった一人しか浮かばなかった。衣装はどうするか、作ることはできないがサイズ直しや改造ならできる。帽子は自分の手で作りたい。

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明くる年の例大祭１１。
私は、足を踏み出しました。