法哲学と政治哲学と倫理学の違いを教えてください

民法をやっているかどうかです。……というだけではわかりにくいので、もうちょっと説明します。

研究する領域はかなりの程度に重なっていますね。この三者に加えて、理論系の社会学なども似ています。たとえば、最近流行の「グローバル・ジャスティス」論などは、どの分野もだいたい同じような文献を読んだ上で論じていますので、パッと見では著者の分野の違いなんてわかりません。法哲学だったら法制度をつねに念頭に置いている……はずですが、別にそういうの言及していない論文もたくさんあるのでよくわからない。もう、ぶっちゃけ出身や所属など制度上の違いにすぎない、ともいいたくなります。しかし、それで済ますのもどうも気がきかない。

この三者は、やっている内容や研究手法というより、バックグラウンドの違いが大きいと思います。法哲学だと憲法・民法・刑法……という法律科目を一通りやっていますし、政治哲学だと実証系の政治学などをやっている。倫理学のディシプリンはよく知らないですが、まあ、哲学史などがっちりやっているでしょう。こういうのがどこかでじわじわきいてくるので、それぞれの論文を読んでいると、あれ、ちょっと発想が違うな、というのがなんとなくわかってきます。

ある先生はこのあたりの事情について、民法の砂を噛むような解釈論に青春の数年を費やしたかどうかで議論のコシが違ってくる、なんてふうに説明していました。これは法哲学に肩入れした話ですが、どの分野でもそういう、足腰になるディシプリンがあって、おのずとそういうのが出てくるものでしょう。これはどれがいいとかいう話ではなく、分野ごとの個性の問題です。むしろ、そうした分野の個性をまったく感じさせない論文はちょっとまずいのではないか、という気さえするのですが、これはどうだろう。法哲学だとそう思うんですが、他の分野はそうでもないかもしれない。

あと、法哲学だとだいたい法学部に就職したり、そうでなくとも実定法の先生や法律実務家の方々と交流する機会が多くなりますので、そうした方々に自分の研究を説明できないとちょっときついです。この話はたとえば民法の議論でいうとあれみたいな感じです、なんてのがパッと出てくるようにいつも考えている。そういった同僚との関係も大きいと思います。そのへんもたぶん論文に、明示的にではなくともじわじわ出てくるんじゃないかと思います。他の分野もそういう、日常的に交流する相手が誰か、というところでいろいろ変わってきそうですね。

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