もう古い話になってしまいましたが、「レバ刺し規制」に対して法哲学の観点からは何を思われますか?また、科学分野の「有識者」の意見に基づき規制が決定されたことについてどう思われますか?

 法哲学というかリバタリアンな観点からの答えになりますが、基本的にそういう規制を政府が行うのはよくない、しかし例外的に認められる場合はどんなときだろうか、というふうに考えます。あとはまあ、へたに規制するとちゃんとしたノウハウを持った業者が撤退して、かわりに闇の流通が増えてかえって危険、みたいな可能性も考えておく必要はあります――これ、「規制するならするでとことんやれ」という論理にもつながるので、ちょっとイヤなところもあるんですが。
 レバ刺しとか生ユッケとか、ちょっと苦手で食べたことがないのでよくわからないのと、あと危険性がどれぐらいなのかちょっと判断がつきかねるんですが、たとえばフグみたいに、へたな食べ方をしたら一発で死んじゃうようなのはさすがに何か規制しないとまずいですよね。その規制のあり方はたぶんリバタリアンのなかでも意見が分かれると思いますが、業界団体で自主的に資格とか作って……というだけではちょっとまずそうです。そこまで危険のないものだったらそうやって市場に任せるのが望ましいですが、さすがに死んだりひどい後遺症が残るようなものは、ある程度、公的な介入もやむをえないでしょう。その影響が不可逆的なものであるかどうか(そうなる危険が一定以上に高いか)によって、パターナリスティックな介入の是非も考えられるべきではないかと思います。
 それで実際、レバ刺しにどれだけ不可逆的な危険があるかというと、そんなにないという意見もあり、正直よくわかりません。仮にそこまででもないとしたら、その程度に応じて、たとえば一定の食中毒リスクがあります、というのをどこかに表示するとかいった情報提供義務を課すぐらいでいいだろうと思います。子どもはダメ、というふうに年齢とかで分ける必要がある場合もあるでしょうね。大人の場合、その上で食べるかどうか判断するのは各人の自由でいいでしょう。わたしは生カキが好きでいつもぺろぺろ食べてますが、まあ、そういう表示があっても食べ続けるんじゃないかと思います。
 科学分野の有識者の意見に基づいたというのは、実際のところどうなんですかね。この件については科学者の権威を利用したというよりは、生ユッケでの死亡事件がわりと大きく報道されたことの勢いに乗じたような印象もするんですが、まあよくわかりません。たいていの場合、科学者がそういう決定に積極的に関与することはあまりなく、最初から方向が決まっているものにお墨付きを与えるように利用されることのほうが多いでしょう。そういうの嫌がってこういう審議会に出てもらえなくなってはいけませんですね。

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