論文のテーマはどうやって決めていますか?

 最初の論文は世代間正義論ですが、これは、加藤尚武『環境倫理学のすすめ』(丸善、1991年)以降、主に(応用)倫理学の先生方による世代間倫理の議論を読んでいて、なんかもうちょっと突っ込んだことが言えるのではないかなあ?と漠然と思っていたのと、千葉正士『法と時間』(信山社、2003年)をちょうど大学院に入るかその直前ぐらいに読んで、法哲学と時間論という組み合わせに新鮮な印象を受けた、というのがあります。両者をうまくつなぐちょうどよい問題として世代間正義論というのがあるだろうと。で、やり始めてみると単純に「応用」というよりは、法と時間の関係に関する相当に原理的な問題に取り組む必要があることがわかってきて、それが面白くなって、現在に至っています。現在はなんとなくいろんなテーマを扱っていますけれども、大きなまとめとしてはその初発の問題関心の中にあると思っています。
 あとはまあ単純に、ちょうどそのころ、法哲学で世代間正義論というか、時間にかかわることを中心的に研究されている方が少なかった(千葉著はドイツ中心で、英米系をやりたかったものとしてはやや関心が違っていた)という事情もあります。まあ、「他にやっている人がいない」というのはテーマ選びの上でとても重要なんじゃないでしょうか。そうすると参照できる文献がどうしても少なくなるので、開拓していくのが難しいというのはありますが……。
 とはいっても、あまり人と違うことばかりやろうとしたり、あるいは内発的な問題関心だけで突っ走ったりすると専門的になりすぎて読んでもらえなくなってしまう、というのもある程度は考えておかないといけないと思います。あえて流れに乗って盛り上げるとか、飛んできたボールをきっちり打ち返すとか、そういうワザもある程度はあったほうがいろんな人と交流しやすくなっていいでしょう。もちろん、最初からそればかり考えていてもよくなくて、まずはがっちりした基礎を作った上で、という話にはなります。

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