刑法を題材にした法哲学の著作・研究書ってあるのでしょうか?

 これはたくさんありますね。古くは小野清一郎、木村亀二といった先生方が法哲学(法理学)の講義を受け持ったり、本格的な著書や論文も書かれていますし、刑法の、特に総論だと自由意志とかいろいろ、直球で法哲学的なテーマがずっと議論されてきています。
 たとえば現代だと、H. L. A. ハート、ジョエル・ファインバーグ、アルトゥール・カウフマンといった大物たちがそれぞれ刑事的な責任論について本を書いていますし(そもそもカウフマンは刑法学者でもある)、最近ではオックスフォードでドゥオーキンの後任であるジョン・ガードナーが、 'Offences and Defences' (OUP, 2003) をはじめとする「刑法の法哲学」研究を精力的にやっています。日本の法哲学者だと、森村進先生や瀧川裕英先生がいくつか論文を書かれていますし、法思想史研究でもたとえばカントとかに取り組む方はだいたい触れる論点です。また、2015年度の学術大会では「応報の行方(仮)」が統一テーマとなっていまして、いわゆる「応報刑ルネッサンス」とか、アーキテクチャ的支配と刑罰の関係みたいな話が扱われるんじゃないかと思います(内容について私は知りませんので、違ったらすみませんです)。
 ☆参照:http://www.houtetsugaku.org/congress/Planning.html
 刑法や、哲学・倫理学の方からのアプローチになるとちょっとカバーしきれなくなってくるほど多いのですが、少しだけ紹介すると、増田豊先生の三部作『刑事手続における事実認定の推論構造と真実発見』(2004年)、『語用論的意味理論と法解釈方法論』(2008年)、『規範論による責任刑法の再構築―—認識論的自由意志論と批判的責任論』(2009年)(いずれも勁草書房)などは、ドイツ系の議論を中心に、現代の刑法と法哲学にかかわる問題群を最も浩瀚に扱ったものでもう、すごいです。

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