現代の法哲学では自然法は笑い者ですか?

 いえ、そんなことは全然ないです。自然法というとなんだか、きれいごとをお説教しているだけのイメージがあるかもしれませんし、そういうのが全然ないとはいいませんが、学問的にはずっと、真剣に取り組むべき対象であり続けています。
 英米系だとたとえば、ジョン・フィニス(John Finnis)はその第一人者で、彼の主著 'Natural Law and Natural Rights’ (1980) は出版以来ずっと議論を巻き起こしています。2011年には増補改訂された第2版も出版されています。他にも、マイケル・ムーア(Michael S. Moore)は現代自然法論の旗手としてややっこしい議論を精力的に展開しています(代表作に 'Causation and Responsibility, ' 2009 など)。現代の法哲学、特に英米系の法概念論やメタ倫理をやるにあたって、彼らの議論は決して無視できない位置にあるといえます。
 日本の法哲学者による浩瀚な研究書としては、河見誠『自然法論の必要性と可能性――新自然法論による客観的実質的価値提示』 (成文堂、2009年)があります*。カトリック自然法論から現代自然法論までの膨大な蓄積を踏まえたうえで、現代の法哲学的な諸問題に取り組まれています。 
* http://www.seibundoh.co.jp/pub/search/002163.html

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