法哲学で共同研究や共著というのを見かけたことがないのですが、ありますか?またなぜ少ないのでしょうか?

.共同研究はたくさんありますよ。たとえば大きめの科研費などはたくさんの研究者が分担者や連携者となって、研究会を開いていろいろ議論したり、一緒に調査に行ったりとかして進めていきます。成果として出てくるものとしては、学術書でいろんな人が書いている論文集形式のものはだいたいそういうのですね。ただこれも、普通はそれぞれの執筆分担がはっきり分かれていて、なかには論文集内部で論争しているものもあったりするので、いわゆる「共著」ではないですね。自然科学系で多く書かれているような意味での共著は、おそらくほとんどないのではないかと思います。
.共著がなぜやりにくいかというと、法哲学というのは研究者それぞれのまるごとの世界観が現れるのであって、みんな一国一城の主であるから分業ができないからです。……というのはなんだかおおげさですが、どんな基本的な論点でもいきなり「ちゃぶ台返し」がなされてしまうので、ここまでは共通了解ということで固めよう、というのがやりにくいわけです。もちろん、共同研究を始めるにあたっては問題関心の方向性ぐらいは共有していることが多いですが、出てくるものは本当にバラバラであるし、むしろその多様性こそ望ましい、といった感じです。このあたりの文化の違いについては↓で少し書きました。
http://ask.fm/tkira26/answer/107902870503

.私自身についていえば、「共同研究」にはこれまでいくつか参加させていただいております。「共著」については、一応1本あるのですが、これもひとつの論文のなかで論争している変なものなので通常の意味での共著とはちょっと違います。共同での学会発表はいくつかありますが、これは法哲学そのものというよりは、科学技術社会論(STS)など、自然科学系にもまたがった学際的分野で、ある程度は共通了解を前提にできるからこそ可能なものですね。まるっきり法哲学プロパーの研究で他の人と一緒に論文を書くというのはちょっと考えにくいです。というか、イヤです。

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