集団的自衛権の解釈変更がまとまりそうな雰囲気ですが、この解釈変更の違憲性を裁判所に提起する方法って何か方法があるのでしょうか?(この解釈変更に基づいて派遣命令が出た場合、自衛官がその効力を争うとかでしょうか?)

.「訴訟リスク」としてそういうことが指摘されてはいまして、もちろん可能性としてなくはないのですが、現実的には統治行為論とかでハネられて違憲性判断までいかないだろうと思います。
.より原理的な問題としては、安全保障のような政治的裁量の大きい――したがって民主的政治過程によって決せられるべき――事柄について裁判所が積極的判断をしてよいのかどうかというのもあります。安倍政権は憲法13条の幸福追求権を国家の基本権保護義務のようなものの根拠として援用し、集団的自衛権を正当化するといった、かなりアクロバティックなことをしているわけですが、この問題を違憲審査のアリーナに乗せようとするのはむしろその枠組みを認めることにつながります。これは、憲法は基本的人権を「消極的に」尊重すべく国家権力を分割・制限するための命令であるという「立憲主義」から、憲法は国家に対し基本的人権を実質的かつ「積極的に」保護すべく活動せよという命令でもあるというような、憲法観のかなり根本的な転換をともないます。もちろんそれはそれで一長一短があるのですぐにどちらがいいというつもりもありませんけど、「立憲主義」を看板に掲げながら行われている議論が、そうした立憲主義からの離反につながる要素にしばしば無自覚であるようにみえるのは、もちろん戦略的なものかもしれませんが、ちょっと危険なことであるように感じているところです。
.憲法解釈が変わったからといってすぐさま集団的自衛権が具体的に行使できるかというとそんなことはないわけで、個々の場面において民主的政治過程を経る必要があります。あまり抽象的に是非を論じてどうこうなる段階をもはや過ぎつつあるわけなので、今後はそうした個々の場面における民主的な統制可能性を真剣に考えていくべきところではないかと思います。

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