リベラリズムと多元主義って違うの?

.多元主義も一枚岩ではないのでいろいろです。たとえば利益集団多元主義(interest-group pluralism)というロバート・ダールの民主主義モデルがあり、それは政治を諸集団の私的利益の取引(bargaining)の場とみなすリベラリズムの発想であるとして熟議とかの人に叩かれています。共通善創出志向がないとかそんなふうな。これはもちろんダールなり、あるいはリベラリズムの政治理解として不当に単純なものですが、そんなふうに同一視する風潮はそれなりに強いといえます。
.一方、リベラリズムと多元主義を対立的に考える発想もあります。リベラリズムはリベラルな諸価値を普遍的なものとして非リベラルな人々にも押し付ける、それは多元性の否定であってけしからん、みたいな方向性。リベラルな価値を受け入れたくない民族的マイノリティ(典型的にはアーミッシュなど)の文化的伝統も守るのが多元主義で、それは普遍志向のリベラリズムとは緊張関係にある、といった感じ。こういった主張自体は多文化主義や批判的人種理論などでさまざまに形を変えて現れますが、「リベラル多元主義(liberal pluralism)」とかいって両者の生産的な関係を模索する潮流もあります。ウィリアム・ギャルストンとかが代表。
.以上は現代アメリカのふたつの例ですが、他にもいっぱいありますし、イギリスではどうか、ドイツではどうか、というとキリがなくなるので、どこのどういう多元主義なのかを押さえておく必要があります。入口としては早川誠『政治の隘路』(創文社、2001年)など。

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