大阪で生活保護費の一部をプリペイドカードで支給することになったというニュースと、それに対する反対意見・擁護意見を見ました。反対する側は財産権を論点にしていて、擁護する側はモラルを論点にしているようでした。リバタリアン的には反対する側に回るのかなぁと思ったのですが、もし保護費を適切に使えないことで生活保護から抜け出せない人がいるなら、家計管理を教育して早く生活保護から抜け出る助けをした方が本人のためなのでは、とも思います。吉良先生はどう考えますか?

.これ、報道の見出しだけみてキレてる人が多いようですが、1)ケースワーカーの方などと相談したうえで同意した方につき、2)一部の額をプリペイドカードで支給する、という話でしょう。なんだか全員・全額がプリペイドカード支給になって管理されてしまう、といったすごい話として誤解されている雰囲気がありますが、少なくとも現時点では、家計管理をしたいという意思のある方の手助けであって、プライバシーにこれまで以上に踏み込むようなものとは考えにくいです。もちろん、今後そういうふうにしていくつもりに違いない、という批判はありえますが、現状でそこまでいうべきかどうかちょっとわかりません。
.法律的なことをいうと、生活保護法31条1項は「生活扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。」と定めています。プリペイドカードが金銭なのか現物なのかというとあれですが、まあ現物でしょう。すると但し書の要件が問題になりますが、「その他保護の目的を達するために必要があるとき」で、27条とかを根拠とする相応の合理的な目的があって、しかも本人の同意がある場合に限っているので、そこはクリアしているでしょう。もし、心配している方がいうように同意不要で全員・全額に拡大するつもりであれば、ここらへんを法改正しないことにはきついのではないかと思います。

View more