審議拒否って自由民主主義的にどーなの?話し合いしないって議論の放棄じゃん!ってネガティブな判断を受けるだけなのでしょうか。それとも審議拒否を通じて与党側の譲歩を引き出すとかあったらポジティブな評価を受けることもあるんでしょうか。

.日本の法案審議では、共産党はとりあえずほっとくとして、与野党合意に持っていきましょうね、という国会運営上の慣習があります。審議拒否→強行採決、なんてことを繰り返していると、他の法案での野党の協力も得られなくなったりするので、与党側としてもできればちゃんと議論したいインセンティブがあります。野党側もそれがわかっているから審議拒否が有効な戦術でありうるし、会期の縛りがきつい(時間切れで廃案になったら同じものをまた次に、とはなかなかやりにくい)ので、審議拒否その他の引き延ばし戦略(廃案を目指す、あるいは譲歩を引き出す)も重要になってきます。それで結果的に法案が改善されるならご指摘の通り、ポジティブな評価を受けることもあるでしょう。このへんはどちらが望ましいかというよりは、現にある制度と慣習のもとで両者が最大限に合理的な行動をとる結果としていろいろ出てくる、と理解するのがよいかと思います。もちろん、違った制度のもとでは違った合理性がありえます――会期の縛りがゆるく、時間資源にそれほどの重みがなければ単に引き延ばしても仕方がない。
.もっとも、日本でも政権交代の可能性が一応は現実的なものとなった以上、ある程度の時間をかけて議論したらきっちり採決し、それ以上は有権者の判断に任せるというのも、特に世論を二分するような対決型の法案については望ましい場合もあるかと思います。合意を目指して変に妥協するよりは、もともとどこの案なのか、責任主体を明確にするほうがよいこともあるでしょう。そういう法案の場合は、野党としても審議拒否とかはあまり有効な戦術にはならず、対案を出したりして実質的な議論を進めたほうが「責任もって反対したからな」というアピールになりえます。

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