生前退位の件は憲法問題として正面から考えるべきだって言われればそんな気もするのですが、改憲が必要とまで言われると???です。もともと条文が大雑把なので、どこをどう変えるか見当がつかない。改正するほどのことは今の憲法に書いてないじゃないか!って思うのですが。生前退位を可能にするための改憲って、条文例としてはどんな感じになるのでしょうか?

.象徴天皇制と政治的権能の剥奪はセットなので、文字通り一世一代の政治的企てとなりうる意思的な生前退位と調和させるのには根本的な困難があります。
.いちばんすっきりするのは1~8条の削除、つまり天皇制の廃止ですが、さすがにそんなことが現在の政治状況で可能であるとも思えない。かといって、部分的な修正でこの問題が治癒されるとも思えないので、残念ながらそんなに具体的なアイデアもありません。たとえば天皇に一定の政治的自由を認める一方で、数年ごとの国民審査で民主的答責性を確保するといった制度設計は可能かもしれませんが、1)退位に対しては意味がありませんし、2)そういうのはもはや天皇制である必要はなく、大統領制に移行すれば済む話ではないかということもあり、どうもあまりうまくいく気がしません。
.結局のところ、象徴天皇制を維持しようとする限り無理なのでは?というのが正直なところですが、内閣法制局はそのあたり当然いろいろ考えているでしょうから、具体的な案が出てきたらまた検討するということでひとつ。おそらく、定年制などの非‐意思的な生前退位を認める(これだけなら憲法改正は必要ないかもしれない)のが落としどころなのかもしれません。しかし、それが何かしら天皇個人への「人道的」措置なのだという心情によるものだとすれば、そもそも現行天皇制自体が天皇個人への根本的な人権侵害である以上、それを温存させるのは政治的妥協としてはありえても、理論的に支持できるものではまったくないと思います。

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