昔の男が忘れられません。新しい恋に踏み出したいとは思うのですが、どうしても踏ん切りができません。どうしたら彼のことを忘れられるのでしょうか?
すごいタイミングで、すごい質問をくださるのですね。こっちの話です。
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さて。
まずもって一般的に、すっきりと過去を忘れることなど人間にできましょうか?
おそらくそうではないと思いますし、あなたもそれはわかっているかと思います。
「そういうことを言っているんじゃない」と、お感じになるとは思いますが、ひとまずこういう言い方をさせていただきます。
恋愛関係という部分を抜き出しても、人間は過去抜きでは生きていけない存在だと思います。
というより、そういう文脈だと特に、過去の経験に直接形づくられて現在から未来へ歩いていくことになるんじゃないのかな、と思っています。
■
こう書くことであなたがいくばくかでも救われるものではないとは知りつつ、しかしこう書くことしか僕にはできそうもないので申し上げますが、恋はするものではなく落ちるもの、というフレーズがありますよね(江國香織だったでしょうか)。
きっと忘れる忘れないということを超えて、そのときがきたらあなたは、気がついたら新しい恋に踏み出していることと思います。
その相手は、元彼さんに似た人かもしれませんし、まったく逆のタイプの人かもしれません。
そうやって並べて語ろうとすること自体がむろん失礼なことで、あるいはわざわざそこで元彼さんを思い出す必要もなくて、それらはまったく縁のない、独立した事象です。
ですがその人とかかわっていくやりかたは、どうしたって元彼さんと一緒に形づくったものが大きな部分を占めてしまうのだと思います。
ごはんに誘いデートの誘いを受けるときのちょっとした言い回し。
手をとったり握られたりするタイミングや機微とそのときのまなざし。
どこからでも「そいつ」はあなたのもとに現れます。
忘れたいと願っているひとに何を言うのかという感じですが、きっとあなたにとってもこれはほんとうです。
でも新しい恋に踏み出したときのあなたにとって、それは果たして絶望的なことでしょうか?
……と、思うのです。
■
僕からあなたにひとつ申し上げられることがあるとすれば、だからといって何もないところに踏み出そうとしてはだめです。
そうしてしまったときのあなたは、辛いかたちでしかも無限に、元彼さんのことを思い出してしまうことと思います。
だからきっといまは、時間が何かを解決してくれるまで、「そのとき」がくるまで自分を守りながら、誰かにとって素敵なあなたでいることしかできないと思います。
それはおそらく大変なことで、だけど熱中すれば時間も忘れられるし、いいことですよ。
こんなことしか言えなくて、ごめんなさい。
音もなく現れる「そのとき」が案外と近くに迫っていることを、お祈りしておきます。
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さて。
まずもって一般的に、すっきりと過去を忘れることなど人間にできましょうか?
おそらくそうではないと思いますし、あなたもそれはわかっているかと思います。
「そういうことを言っているんじゃない」と、お感じになるとは思いますが、ひとまずこういう言い方をさせていただきます。
恋愛関係という部分を抜き出しても、人間は過去抜きでは生きていけない存在だと思います。
というより、そういう文脈だと特に、過去の経験に直接形づくられて現在から未来へ歩いていくことになるんじゃないのかな、と思っています。
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こう書くことであなたがいくばくかでも救われるものではないとは知りつつ、しかしこう書くことしか僕にはできそうもないので申し上げますが、恋はするものではなく落ちるもの、というフレーズがありますよね(江國香織だったでしょうか)。
きっと忘れる忘れないということを超えて、そのときがきたらあなたは、気がついたら新しい恋に踏み出していることと思います。
その相手は、元彼さんに似た人かもしれませんし、まったく逆のタイプの人かもしれません。
そうやって並べて語ろうとすること自体がむろん失礼なことで、あるいはわざわざそこで元彼さんを思い出す必要もなくて、それらはまったく縁のない、独立した事象です。
ですがその人とかかわっていくやりかたは、どうしたって元彼さんと一緒に形づくったものが大きな部分を占めてしまうのだと思います。
ごはんに誘いデートの誘いを受けるときのちょっとした言い回し。
手をとったり握られたりするタイミングや機微とそのときのまなざし。
どこからでも「そいつ」はあなたのもとに現れます。
忘れたいと願っているひとに何を言うのかという感じですが、きっとあなたにとってもこれはほんとうです。
でも新しい恋に踏み出したときのあなたにとって、それは果たして絶望的なことでしょうか?
……と、思うのです。
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僕からあなたにひとつ申し上げられることがあるとすれば、だからといって何もないところに踏み出そうとしてはだめです。
そうしてしまったときのあなたは、辛いかたちでしかも無限に、元彼さんのことを思い出してしまうことと思います。
だからきっといまは、時間が何かを解決してくれるまで、「そのとき」がくるまで自分を守りながら、誰かにとって素敵なあなたでいることしかできないと思います。
それはおそらく大変なことで、だけど熱中すれば時間も忘れられるし、いいことですよ。
こんなことしか言えなくて、ごめんなさい。
音もなく現れる「そのとき」が案外と近くに迫っていることを、お祈りしておきます。