お気に入りの歌集、影響を受けた歌集は?
正直に言って、「影響を受けた」と自覚できるほど歌集を読み込んだことはまだありません。読んだことのある歌集も決して多くありませんが、その中で好きだと思う歌集を挙げます。
最近読んだ歌集でいちばん印象的だったのは、望月裕二郎さんの『あそこ』です。一読して思わずにやっとしてしまう歌も好きですが、目の前で世界がすぱっと切られたような、筒だと思って覗いたら、筒じゃなくて全然全く別のところにつながっているのを見てしまって急にこわくなるような、そんな歌がたくさんあって好きです。好きな歌をいくつか引用します。
「一体誰がファックスの音考えた」「自然にできた」「そんなはずない」
頭をきりかえる首から血をながしわたしはだれの頭で生きる
いもしない犬のあるき方のことでうるさいな死後はつつしみなさい
五臓六腑がにえくりかえってぐつぐつのわたしで一風呂あびてかえれよ
(さいしょは)偶(じゃんけん)人になるあそびわたしに皮ってくれねえのかよ
つり革に光る歴史よ全員で一度死のうか満員電車
(望月裕二郎『あそこ』より)
「お気に入りの歌集」と言われてぱっと頭に浮かんだのは雪舟えまさんの『たんぽるぽる』です。
雪舟さんの歌一首一首に宿るエネルギーというか魂には本当に心をうたれます。一生胸のうちに抱いていたいような歌がたくさんあります。
ふと「死ね」と聞こえたようで聞きかえすおやすみなさいの電話の中に
すきになる? 何を こういうことすべて 自信をもってまちがえる道
すきですきで変形しそう帰り道いつもよりていねいに歩きぬ
寝顔みているとふしぎに音がない。来たくて来た場所はいつも静か
雪よ わたしがすることは運命がわたしにするのかもしれぬこと
(雪舟えま『たんぽるぽる』より)
あと、歌集ではありませんが、最近読んだ短歌同人誌では『一角』がとても面白くて、しびれる歌がたくさんありました。
火をひとつくれ そのあかりそのくるしさでずっと夜更けの森にいるから
(小林朗人「終点」より)
あなたはわたしの墓なのだから うつくしい釦をとめてよく眠ってね
(大森静佳「きれいな地獄」より)
最近読んだ歌集でいちばん印象的だったのは、望月裕二郎さんの『あそこ』です。一読して思わずにやっとしてしまう歌も好きですが、目の前で世界がすぱっと切られたような、筒だと思って覗いたら、筒じゃなくて全然全く別のところにつながっているのを見てしまって急にこわくなるような、そんな歌がたくさんあって好きです。好きな歌をいくつか引用します。
「一体誰がファックスの音考えた」「自然にできた」「そんなはずない」
頭をきりかえる首から血をながしわたしはだれの頭で生きる
いもしない犬のあるき方のことでうるさいな死後はつつしみなさい
五臓六腑がにえくりかえってぐつぐつのわたしで一風呂あびてかえれよ
(さいしょは)偶(じゃんけん)人になるあそびわたしに皮ってくれねえのかよ
つり革に光る歴史よ全員で一度死のうか満員電車
(望月裕二郎『あそこ』より)
「お気に入りの歌集」と言われてぱっと頭に浮かんだのは雪舟えまさんの『たんぽるぽる』です。
雪舟さんの歌一首一首に宿るエネルギーというか魂には本当に心をうたれます。一生胸のうちに抱いていたいような歌がたくさんあります。
ふと「死ね」と聞こえたようで聞きかえすおやすみなさいの電話の中に
すきになる? 何を こういうことすべて 自信をもってまちがえる道
すきですきで変形しそう帰り道いつもよりていねいに歩きぬ
寝顔みているとふしぎに音がない。来たくて来た場所はいつも静か
雪よ わたしがすることは運命がわたしにするのかもしれぬこと
(雪舟えま『たんぽるぽる』より)
あと、歌集ではありませんが、最近読んだ短歌同人誌では『一角』がとても面白くて、しびれる歌がたくさんありました。
火をひとつくれ そのあかりそのくるしさでずっと夜更けの森にいるから
(小林朗人「終点」より)
あなたはわたしの墓なのだから うつくしい釦をとめてよく眠ってね
(大森静佳「きれいな地獄」より)