お題:半月ゴースト:暦にしき

「古来より、月は暦であると同時に、風流なものでもありました」
.日の暮れかかった並木通り、そこにうっすらと見える月は、半月だった。
「今日、2015年3月27日は、新月から数えて1度目の半月、上限の月です」
.半分の月を見ながら、説明を聞き流す。
「月の満ち欠けを基準にした太陰暦というのもありますね。これを採用すると1年が354日になってしまうので、3年に1度は閏月を入れる必要がありました」
.色々とうんちくを語る暦にしきをよく回る口だなと思いつつ眺める。この分だと家に付いても説明が終わらないのではないだろうか。
「なんていう話は多分お望みじゃないだろうなと思いまして」
.どうやら態度ですっかり感付かれていたらしい。参った。
「月が地球外生命の脱出用の宇宙船だという説を聞いたことありますか?」
.科学の話が急にうさんくさい話になってきた。
「月が一切見せない裏面、そこにはほとんどクレーターがない。そして、月の密度が地球に比べると低いという特徴。ここから、色々と想像する方が多いみたいですよ」
.急に普段話さないオカルトっぽい話をし始めたのでそれで、と相槌を打ってしまう。
「この2つを満たすのが、月は宇宙船とする説だそうです。密度が軽いのは、中に居住区があるから。裏側にクレーターがないのは、推進方向の逆だからです。今、地球から見える面を前面とした、球状の脱出用宇宙船。それが月なんだそうですよ」
.と、暦にしきは一気にまくし立てた。
「さてさて、急に変な話をしましたが……。こうして私の話を聞いてくれるのもずいぶんと久々じゃないですか」
.ずばり言われると反論出来ない。そういえばずっと話を聞き流しているような気がする。
「確かに私はある程度は割りきっていますが、やっぱり会話するときはちゃんと聞いてもらいたいと思うのですよ。今日みたいに」
.なぜか暦にしきの笑顔が怖い。さらっと予定を全部消すとか、そんなとんでもないことでもされると困る。なんだかんだでスケジュール帳の代わりをしてもらっているわけだし。もうちょっと丁寧に話を聞いたりしないとなあと思いつつ、3日もすれば忘れているのだった。
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暦にしきのトークをめっちゃ長いからっていつもスルーしてごめんなさい

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