お題:ペペロンチーノ ゴースト:自由

_安くて美味しく、簡単で腹も膨れる。ペペロンチーノとは神が与えたもうたレシピに違いない。そう思いつつ、実際に目の前にいる元・神様にペペロンチーノを捧げる。
「やっと出来たのか。もう腹が減って倒れてしまいそうだ、早く食べさせてくれ」
_赤樺はダルそうにちゃぶ台で頬杖をついて座っている。今日はカエデが買い出しでいないので、昼食を作ることになったが、予想以上に何もなかった。そりゃあカエデが慌てて買い物にも行くわけだ。
「今日は麺か。つけダレはどこだ?」
_そんなものはない、と言いつつ麺に味が付いていると答える。
「ほう。麺自体に味がついているのか。どれ……なかなかうまそうな香りだな。では、いただきます」
_いただきます、と合わせて言ってずるずる食べる。スパゲティを端で食べる赤樺の姿はなんとも言えないが、器用に食べる。さすが日本の神様は箸さばきも一流で油でコーティングされたスパゲティもこぼしたりしない。
「ふむ、変わった味だな。うどんともそばとも違う、出汁も不思議なものを使っているな。嫌いでないぞ。毎日食いたいとは思わないが」
_単なるコンソメである。カエデが日本食を専門に作る上に旨いので、同じ日本食を出す気もなかったし、偶然パスタの乾麺が残っていたのは幸いだった。とりあえずうちの神様には気に入ってもらえたらしいので万々歳だ。
「カエデが作る飯も嫌いではないが、やはりこうしてたまには変わったものを食べるのも刺激になる。カエデに言っておこう」
_あのいつもの食事に、カエデがどれだけ気を使い手間をかけているのか、悲しいかなこの神様には伝わっていなかった。心の中でカエデに同情した。
「で、この食べ物はなんという名前なのだ。また気が向いたら作ってもらうかもしれん」
_どうやらお気に召した様子だ。綺麗に完食した。と言ってもさすがに神様であるだけあり、どんな食事であっても残したのは見たことがない。捧げ物は全て食べるのだろう。食べきれない量を置いてみたいとも思ったが、さすがに罰当たりなのでやめておく。
「おい、聞いてるのか。名前を教えてくれと言っている」
_考え事をしてしまっていたようだ。とりあえず、ペペロンチーノまたはペペロンチーニだと伝える。
「ぺぺろ……なんだ?まあいいカエデに言えば大体分かるだろう」
_ひとまず空っぽの冷蔵庫をよそに、昼食はなんとかなった。
_ちなみに、後日カエデはペレストロイカを作れ、と無茶ぶりされていたがきちんとペペロンチーノを作っていた。さすがである。
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食事トークってないなあと思いつつ、多分みんな和食派だと思う。

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