お題:幼稚園の頃ゴーストタマ

_まだ幼かったころの話。幼稚園には、わんぱくな男の子も、おとなしい女の子も、みんな一緒だった。だから腕っ節の強い子がしょっちゅう誰かを叩いて泣かせていたし、女の子は好きな男の子の話ばかりしていた気がする。
_私は昔からあまり人と話すのは得意でなかったし、誰かに何かされたら、それが過ぎ去るまで我慢することが多かった気がする。だから男の子にはしょっちゅうちょっかいを出されていた記憶がある。
_そんなやんちゃな男の子も、おしゃべりな女の子も、先生がお化けが出る話をした時だけはおとなしくなった。話が終われば強がるものの、恐怖の前にはみんな同じというのがとても奇妙に映った。
_だから、私は怖い話が好きになった。人さらいの話。夜の家に出る恐ろしいものの話。そういう話を好んで聞いたり読んだりして集めていた気がする。
_そうやって怖い話を聞いていたある日から、視界の隅にうずくまる黒いものがいることに気づいた。
_それは日に日に形をもって実体化してゆき、やがて爛々と輝く赤い目を持つ何かになった。それは他の誰にも見えない。でも、私に危害を加えることもなかった。
_それはいつしか言葉を喋り始めた。不甲斐ない私をなじるような内容。だけど、それは幼稚園の男の子と違って、絶対に私に暴力を振るわなかった。そして会話することも出来た。言ってることはほとんど滅茶苦茶で、全く意味不明な内容であることも多かった。だけど、それは唯一私に話しかけてくれる存在だった。
_たとえ、そしられなじられようとも、それは唯一の理解者だった。
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タマってなんなんだろうね。

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