日本では、(犯罪やいじめの)被害者だけでなく加害者へのバッシングも深刻だと感じるのですが、どう思われますか? 加害者に対しては「悪いことをしたのだから何をされても仕方ない」という心理からか、行き過ぎた言動が多く見られる気がします(例えば「どうせ更生しないのだから死刑にしてしまえ」「加害者に人権はない」など)。 人権問題に敏感な人であってもこのような言説を唱えていたり、TwitterでいいねやRTをしていることに疑問を感じます。
社会的批判は市民社会にとって欠くべからざる機能ですから、一定当然かと思われますが、基本的人権はどんな人にも認められなければなりません。これが大原則です。たとえ、やむにやまれぬ理由で部分的に制限されるとしても、それはあくまで"イレギュラー"な状態であり、望ましいことでは決してありません。死刑という制度が根本的に誤っているのは、ある人格にたいして不可逆的・恒久的に人間であることの権利を奪うからであるといえます。このような観点からいえば、たとえば人権との緊張関係を意識しない「厳罰化」の議論はつねに危うさをもっています。私たちの社会が「刑罰」をおこなうとき、それはほんとうは何のためであり、どのような意味をもっているのかを、問い直していく必要があるでしょう。