政治哲学で時々使われる文化左翼という用語の内実がよく分かりません。具体的にはどういう人達を指しているのでしょうか。またどうして文化左翼と呼ばれるのですか?
.左翼の関心が昔ながらの経済的問題から、文化的問題にシフトしたことを指す言葉です。リチャード・ローティなどが(批判的な意味をこめて)使っています。文化的問題というのは何かというと、よく出てくるのは「承認の政治」とか、集団的アイデンティティにかかわるもの。具体的には少数民族問題とか宗教問題として現れてきます。従来の左翼の考え方だと、そういうのは根本にある経済的問題を覆い隠すものであってむしろ反動的だとか、そこまではいわなくても経済問題を解決すれば自然と解決される副次的なものとして扱われていたのですが、最近の論者はそこに経済的問題には還元されない独自の問題領域があることを強調している、ということです。下部構造が上部構造を決定する、という昔ながらの図式から、上部構造(文化)には一定の自律性があって、それが下部構造(まあ、経済)にかかわる問題を隠蔽・温存している、という批判意識が出てきた、ということでもあります。一方、そんなことばかりいってたら肝心の経済問題から目をそらして結果的に現状追認になってしまう、さらにいえばインテリの言葉遊びにすぎない、みたいな強めの批判もなされます。
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